先週の茅ヶ崎海岸に続いて、神奈川県三浦半島にある
荒崎海岸へ行ってきました。
かながわの景勝50選の一つに指定されています。
京急三崎口からバスで荒崎下車、海沿いの道を歩いてすぐです。
富士山の眺めがすばらしいとのことでしたが、あいにく見えませんでした。
001.
弁天島
それなりに景勝地です。
002.
弁天島
別方向から。
003.
このような波が穿った洞穴がたくさんあります。
中には別の方向から掘り進んだ穴が途中で交差しているもの(十文字洞)まであります。
三浦半島では洞穴内で動物の骨を焼いて吉凶を占った弥生時代のト骨(ぼっこつ)が発見されています。
004.
荒崎海岸
この季節だと人影も少なく静かですね。
岩場が広がっていて、磯遊びには楽しそうです。
貝殻もたくさん打ち上がっていますが、
波に擦れたものばかりです。
それでも、結構拾えました。
005.
この建物を見て、ピンと来る人はいるでしょうか。
私はすぐに気がつきました。と同時にこんなところにあるとは思わなかったのでちょっと驚きました。
ここはテレビ朝日系のサスペンスドラマのロケで度々使われる別荘です。
最近は
別の別荘を使っているのでここでロケは行われないそうです。
別荘の先にはお仙が鼻という岬があって、一端その脇の石段を上がります。
この後は
ソレイユの丘という公園で休憩。
ここは2005年に開園した多目的公園です。
太平洋戦争時の日本軍の空港を米軍が接収し、
その後国に返還された跡地を開発したものです。
006.
長浜海岸
ソレイユの丘の南にある長浜海岸です。
荒崎海岸で時間を使いすぎてしまい、すでに日が傾きかけてしまいました。
こちらは比較的新鮮な貝殻が拾えます。
荒崎よりも小さくて軽い貝が多いようです。
この後は、和田バス停まで歩いて三崎口駅まで戻りました。
帰ってから改めて貝殻の写真を撮りました。
下に敷いた砂は荒崎海岸のものです。
007.
スカシガイ
Macroschisma sinense スカシガイ科
殻長22mm(右側の個体)
008.
ヒラスカシガイ
Macroschisma dilatatum スカシガイ科
殻長19mm(右側の個体)
オキナエビスやアワビの親戚で比較的原始的な巻貝です。
色や模様に変異があってきれいです。
背にあいた穴(頂孔)から呼吸します。
アワビの殻の穴も呼吸や排泄、生殖に用いる為にあいています。
スカシガイとヒラスカシガイの見分け方は、
スカシガイの方が頂孔が後寄り、ヒラスカシが中央寄り、
スカシガイの頂孔の後側は斜めに切れ込む。
スカシガイの頂孔の前側は狭まる。
等です。
実は貝殻よりも軟体部分の方がはるかに大きく、生きているときは小さな殻を頭に載せているような姿をしています(
Google)。
009.
ハナチグサガイ
Cantharidus callichroa ニシキウズガイ科
殻高10mm(中央の個体)
小さいながらも華やかで美しい貝です。
模様に変化があり、殻の内側が銀緑色に輝きます。
海藻の上で暮らしていて、海藻が打ち上がっているようなところを探すとたくさん落ちていました。
010.
サザエ幼貝
Turbo (Batillus) cornutus リュウテンサザエ科
殻高18mm
小さいうちは刺がありません。
成長するにつれて深い場所へ移動するようですが、小さいうちは浅い磯にいるそうです。
属名の後の括弧内は亜属名です。
貝類の学名表示独特のルールのようです。
011.
ミミズガイ
Siliquaria cumingi ミミズガイ科
殻高18mm(右側の個体)
巻きがほどけてしまったなんともおかしな巻貝です。
群でカイメンの中にもぐりこんで生活しています。
012.
スズメガイ
Pilosabia trigona スズメガイ科
殻長17mm(左側の個体)
カサガイの仲間のように見えますが、どちらかというと
クマサカガイや
マガキガイに比較的近いグループです。
013. 014.
メダカラガイ
Cypraea (Purpuradusta) gracilis タカラガイ科
殻高16mm(右側の個体)
015.
メダカラガイ幼貝
殻高10mm(左側の個体)
タカラガイのうち最も北まで分布するものです。
相模湾で最も多いタカラガイで、湘南でもよく打ち上げられています。
しかし、湘南ではつやの残ったものはなかなか拾えません。
三浦半島ではざくざく落ちていました。
側面に斑点が並ぶのが特徴です。
背面の模様が目玉模様を思わせるところからついた和名ですが、
目玉模様にならないものも多いです。
タカラガイ類の幼貝は殻口が広く、成貝とは印象がかなり違いますね。
016.
キイロダカラ
Cypraea (Erosaria) moneta タカラガイ科
殻高21mm
メダカラ同様個体数の多いタカラガイですが、
やや南方系のため、相模湾ではそれほど多くありません。
相模湾のものは色が薄くて丸みがありますが、
南方のものは黄色みが強く、角張っています。
タカラガイは紀元前の中国で貨幣として使われていましたが、
特にキイロダカラが多用されました。
背面に刻みをいれた様子から漢字の貝の字ができました。
お金に関する漢字に貝の部首がつくのはこの名残ですね。
種小名の"moneta"はラテン語で金銭という意味があります。
ローマ時代に忠告の女神Juno Monetaを祭る神殿に造幣所があったことが由来だそうです。
その後英語の"money"という単語が派生しました。
017.
タツナミガイ
Dolabella auricularia アメフラシ科
殻高40mm
アメフラシの仲間です。
打ち上げられた死骸から剥ぎ取ってきました。
殻の形が荒波を思わせるのでついた和名です。
ナツメガイにも近い仲間ですが、タツナミガイの殻はさらに退化して体に半ば埋もれてしまっています。
さらに進化が進むと、ウミウシのように完全に殻が失われてしまいます。
018. 019.
ヒバリガイ
Modiolus nipponicus イガイ科
殻長21mm(殻皮のある方)
019は殻皮が剥がれたものです。
鳥の名前がついた貝が多いですね。
020. 021. 022.
ミノクジャクガイ
Septifer bilocularis pilosus イガイ科
殻長27mm(殻皮のある方)
クジャクガイのうち、日本に分布する殻皮に毛が多い型です。
022は殻皮がはがれかかったものですが、緑やオレンジや青などカラフルできれいな貝です。
殻の内側が青味がかっているのが特徴です。
ssp.やvar.やf.を省略するのは動物の学名表記では当たり前になっています。
023. 024.
アコヤガイ
Pinctada fucata martensii (
Pinctada martensii) ウグイスガイ科
殻長32mm
ご存知、真珠を採るために養殖される貝です。
野生では岩に付着して生活しています。
よくよく見ると
ウグイスガイと共通の特徴がありますね。
025.
ヤエウメガイ (ヤエウメノハナガイ)
Phlyctidera japonicum フタバシラガイ科
殻長12mm
泥岩に自分で穴を穿って潜んでいます。
梅の花びらってこんな感じですよね。
サクラガイに
モモノハナガイ、その他にもウメノハナガイ、スモモノハナガイ、フジノハナガイ、ナデシコガイ、ユキヤナギガイなんてのもあります。
日本産ではありませんがリンゴノハナガイ、バラノハナガイというのもあります。
今回はなんやかやで60種余り拾えました。
標本になりそうな新鮮なものはほんの一部ですが。
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001. ~ 006. 013. ~ 015.
D70s
Tokina AT-X 107 DX FishEye 10-17mm F3.5-4.5
007. ~ 012. 016. ~ 025.
PowerShot G6
投稿 2008/04/19
更新 2009/02/25 サムネイルサイズ変更
2009/03/25 カテゴリー変更
2009/06/03 サムネサイズ
2010/08/25 サムネサイズ
2010/11/23 リンク追加
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